食事法ってどれがいいの?体調を変化させるマクロビオティックとは?

小さい頃、食事の際に「よく噛んで食べなさい」と言われた方も多いのではないでしょうか?

マクロビオティックという考え方があります。

桜沢如一(さくらざわ ゆきかず)氏が提唱した考え方で、自然界と調和した生活をすることによって、健康と幸せを得る生き方です。

桜沢氏が明治時代の医師、石塚左玄氏の食養に触れ健康を回復し、石塚氏の食事法をもとに東洋思想を組み合わせ1928年に発表されたことが始まりで、その後久司道夫氏により体系化され、欧米を中心に広がりました。

アメリカで流行し当時のアメリカ大統領や有名人が強く支持したことで、逆輸入のような形で日本でも注目を集めるようになりました。

一般的によく噛んで食べると体に良いとされますが、風説だけでなく科学的根拠もあります。

唾液の分泌が促進され唾液に含まれる消化酵素が食べ物を消化しやすくして胃腸の負担を軽くすること、満腹中枢が刺激されることで少量でも満腹感を得られやすくし食べ過ぎを防ぐこと。素材本来の味を感じやすくなることで味覚が鋭敏になり、刺激物や味の濃いものを求める傾向を抑えられること、顔の筋肉や顎の骨の運動になり血流が促進され、脳への酸素供給がよくなり記憶力の向上や反射神経の活性化などが期待できること。

実は、これらはマクロビオティックで推奨される食事法の根拠と一致します。私たちは知らず知らずのうちに、マクロビオティックに馴染んでいるのです。

では、マクロビオティックを実践するとどのような効果があるのでしょうか。

マクロビオティックの意味と考え方

難しく考えがちですが、マクロビオティックには食べることを明確に禁止されたものもなければ、ヴィーガンのように動物性食品を一切摂取しないといった事もありません。マクロビオティックは健康、長寿、精神的な安定を目的とするもので、ヴィーガンは動物の権利、環境保護が目的です。このふたつは混同されることがありますが、全く別のものです。

マクロビオティックには原則があります。

身土不二(しんどふじ)

地元のもの、風土に適したものを大切にし、旬のものを食べるという考え方です。

身(からだ)と土(土地)は、不二(結びついているもの)という意味があり、風土に適した身体になれば健康を保つことができるとし、そのためには自分の居住している土地で採れたものを食すという考え方です。

具体的には半径150km以内でとれるものが推奨されており、地産地消という言葉とも同じとされています。また輸入食品など遠くから運ばれてくる食べ物には、鮮度を保つための農薬や添加物などの問題の指摘もあります。安心安全のためにもできるだけ近くのものを食べるという選択が推奨されています。

一物全体(いちぶつぜんたい)

「食べ物の命をまるごといただく」という考え方です。

例えば穀物では、田んぼにまけば芽が出てくる状態の生命力のある玄米を選び、野菜ではたくさんの栄養が含まれた皮や節、葉、根っこなども捨てることなく食物をまるごと調理し、全体を食します。

調理法もアク抜きやゆでこぼしたりせず、そのまま蒸す、煮るという方法が多くとられるため必然的に無農薬、無化学肥料で栽培した安全なものを選択することにもつながります。また、捨てる部分が少ないということは、ゴミを減らすことになり、自然との共生にもつながるとされています。

陰陽調和(いんようちょうわ)

陰陽は東洋の伝統的な世界観であり、マクロビオティックの考え方の柱をなすものです。

陰と陽は反対の力でありながら、お互いを引き合わせ助け合っていて、どちらも不可欠なものです。この考えは食べ物のほか、すべての物事にあてはめることができます。

食べ物でいえば、身体を締めるもの・温めるもの・根菜類は陽性で、緩めるもの・冷やすもの・葉物野菜や果物は陰性です。

身体の健康を維持するには、陰陽のバランスが大切という考え方です。

マクロビオティックの取り入れ方

マクロビオティックにはガイドラインがあり、以下の割合で食物摂取バランスが提示されています。

  • 未精製全粒穀物(外皮や胚芽を取り除かない未精製のもの、玄米・全粒粉パンなど) 50~60%
  • 野菜 25~30%
  • 豆・海藻 10~15%
  • その他(果物・ナッツ類など)5~10%

マクロビオティックの調理法

マクロビオティックは陰陽をちょうどよく組み合わせ、「中庸」という均衡のとれた状態を目指します。陰陽どちらかが大事ということではなく、物事には両面があってどちらも欠かすことができないという考え方からきています。

そのため食材、調理法などの陰陽のあるものをバランスよく選択し、中庸に近づけることが重要視されます。

陽性の性質を持つ調理法は焼く、揚げるで、陰性の性質を持つ調理法は蒸す、煮るです。

マクロビオティックの効果

マクロビオティックは、特定の病気を治すことを謳うものではありません。しかし自然に沿った食事と生活習慣によって、体が本来持つ力を高め、健康状態を改善に導くことが期待されます。

・腸内環境の改善

主食である玄米や野菜、豆類、海藻類は食物繊維が豊富です。これらの食品を積極的に摂ることで、腸内環境が整いやすくなります。腸内環境の改善は、便秘の解消だけでなく、免疫力の向上やアレルギー症状の緩和にも繋がる可能性が指摘されています。自然発酵の味噌や漬物といった発酵食品も腸内細菌のバランスを整えるのに役立ちます。

・体質改善

陰陽のバランスを意識した食事を続けることで、冷え性やむくみといった不調が改善されることが期待できます。例えば、体を温める陽性の食材(根菜類、生姜など)や調理法(煮込み、炒め物)を取り入れることで、冷えやすい体質を改善に導く可能性があります。また、体内の不要なものを排出しやすくなることで、肌荒れが改善されるといった声も聞かれます。

・体重管理

食物繊維が豊富な食事やよく噛むことで満腹中枢を刺激する食べ方は満腹感を得やすく、必要以上に食べ過ぎることを防ぐ傾向があります。動物性脂肪や白砂糖の摂取を控えるため、カロリー過多になりにくく、健康的な体重管理、ダイエットに繋がる可能性があります。

・デトックス

便秘が解消されたり、身体を温める食事をすることで代謝を上げ、不要な老廃物の体外への排出機能の向上が期待できます。

・血糖値の安定

未精製の穀物は白米や白いパンに比べて血糖値の上昇が緩やかです。これにより、食後の急激な血糖値の上昇(血糖値スパイク)を抑え、糖尿病の予防や管理に役立つ可能性があります。また、間食を減らし、腹八分目を心がけることも、血糖値の安定に繋がります。

・免疫力の向上

バランスの取れた栄養摂取と腸内環境の改善は、免疫細胞の働きを活性化させ、体の防御力を高めることに寄与すると考えられています。

マクロビオティックの取り入れ方

体調に良い変化をもたらす効果がある、といっても、いきなり全部を取り入れることは困難です。主食を白米から玄米に変更してみる、野菜はよく洗い基本的には皮を剥かずに調理する、旬のものを摂ることを心がける、白砂糖を控える、一口につき30回以上噛む、国内産食材を選ぶなど出来るところから徐々に始めていくことがおすすめです。

マクロビオティックの本質は「いただきます」という食べ物への感謝です。難しく考えすぎず、ストレスを溜めずに健康な身体を目指していきましょう。

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