「貧血気味ですね」と言われたり、立ちくらみや疲れやすさを感じたりすると、
「とりあえず鉄をとらなきゃ」
と思う方は多いかもしれません。
スーパーやドラッグストアには、鉄分をうたった食品やサプリがたくさん並んでいて、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
でも実は、鉄は「多ければ多いほどいい栄養素」ではありません。
この記事では、貧血と鉄の関係を整理しながら、鉄の選び方と注意点をまとめていきます。
貧血と鉄の関係
貧血の中で最も多いのが、鉄欠乏性貧血です。
鉄は、赤血球の中にあるヘモグロビンの材料になります。
ヘモグロビンは、肺で受け取った酸素を全身に運ぶ役割を担っています。
そのため鉄が不足すると、
- 全身に酸素が行き渡りにくくなる
- 疲れやすい
- 息切れしやすい
- 立ちくらみが起こる
といった症状が現れやすくなります。
鉄が不足する原因
鉄不足は、単に「鉄をとっていない」だけが原因とは限りません。
- 月経による定期的な出血
- 成長期や妊娠・授乳による需要の増加
- 食事量や食事内容の偏り
- 胃腸の不調による吸収低下
など、複数の要因が重なって起こることが多いのが特徴です。
鉄の種類と吸収の違い
鉄には、大きく分けてヘム鉄と非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は、肉や魚などの動物性食品に含まれ、
体に吸収されやすいという特徴があります。
一方、非ヘム鉄は、野菜や豆類、海藻などに含まれますが、
吸収率はやや低く、食べ合わせの影響を受けやすい鉄です。
ビタミンCと一緒にとることで、非ヘム鉄の吸収は高まりやすくなります。
鉄を選ぶときの考え方
鉄を補うときに大切なのは、
「足りているか」「どれくらい足りていないか」を知ることです。
貧血というと、ヘモグロビンの数値だけを気にしがちですが、
実は体に蓄えられている鉄の量もとても重要です。
血液検査では、
- ヘモグロビン:いま血液中で働いている鉄
- フェリチン:体の中に貯金されている鉄
という違った側面を見ています。
たとえば、
- ヘモグロビンは正常だけどフェリチンが低い
という場合、
「見た目は大丈夫だけど、貯金が底をつきかけている状態」
とも言えます。
この段階で放置すると、
あとから貧血症状が出てくることもあります。
食事で補えるケース
軽度の鉄不足や、
まだはっきりした貧血が出ていない場合は、
まずは食事からの見直しが基本になります。
特に意識したいのは、
- ヘム鉄(赤身肉・魚)
- 非ヘム鉄+ビタミンC(野菜+果物)
の組み合わせです。
「鉄を多く含む食品」だけでなく、
吸収されやすい形でとれているか
にも目を向けることが大切です。
サプリや薬が必要なケース
一方で、
- はっきりした鉄欠乏性貧血がある
- 月経量が多く、食事だけでは追いつかない
- 胃腸の不調で吸収がうまくいかない
といった場合には、
医師の指示のもとで鉄剤やサプリを使う
ことが検討されます。
このとき重要なのは、
「ずっと飲み続ける」のではなく、「必要な期間だけ補う」
という考え方です。
鉄は、体に十分にたまると、
それ以上はメリットより負担が大きくなることもあります。
自己判断になりやすいポイント
鉄サプリで特に注意したいのは、
- 「疲れる=鉄不足」と思い込んでいる
- 数値を確認せずに高用量を続けている
- 症状が改善してもやめどきが分からない
といったケースです。
貧血の原因は、鉄不足以外にも、
慢性炎症や他の病気が関係していることがあります。
その場合、
鉄を足しても症状が改善しない
ことも少なくありません。
鉄を選ぶうえでのゴールは、
「たくさんとること」ではなく、「ちょうどいい状態に戻すこと」
です。
鉄をとりすぎるとどうなるのか
貧血対策というと、
「鉄は多めにとったほうがいい」
と思われがちですが、実は鉄はとりすぎてもよい栄養素ではありません。
鉄は、余った分を積極的に体の外へ捨てる仕組みをほとんど持たないという特徴があります。
そのため必要以上にとり続けると、体の中にたまりやすくなります。
鉄が過剰になると、
- 胃の不快感
- 吐き気
- 便秘や下痢
といった消化器症状が出ることがあります。
さらに長期間、過剰な状態が続くと、
肝臓などの臓器に負担がかかる
可能性も指摘されています。
特に注意したいのは、
- 貧血と診断されていない状態で鉄サプリを続けている
- 血液検査をせずに自己判断で高用量をとっている
といったケースです。
貧血の原因が鉄不足ではない場合、
鉄を補っても改善せず、体にとっては余分な鉄になってしまうこともあります。
鉄は、
不足しても困る、でも多すぎても困る
とてもバランスが大切な栄養素です。
まとめ
貧血と鉄は切り離せない関係にありますが、
「とにかく鉄を増やせばいい」わけではありません。
鉄は、
- 不足すると体がつらくなる
- とりすぎると体に負担がかかる
という、繊細な性質を持っています。
大切なのは、
今の自分の状態に合った量を、必要な期間だけ補うことです。
「なんとなく不調」「疲れやすい」と感じたときこそ、
一度立ち止まって、体のサインと向き合ってみましょう。
正しく知ることで、
鉄は心強い味方にも、余計な負担にもなり得る
ということが見えてきます。より理解を深めることが、健康への近道です。
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