「最近なんだか気分が優れない」「なんとなく疲れやすい」「心が疲れたかも」そんな時、もしかしたら腸内環境が関係しているかもしれません。
腸は「第二の脳」と呼ばれ、腸の状態はメンタルヘルスに深く影響します。この記事では、腸とメンタルヘルスの関係について解説していきます。
腸内環境とは?
腸の中には100兆個以上の細菌がいて、これを腸内フローラと呼びます。
このバランスが崩れると不調につながることがあります。
- 善玉菌:健康を守る味方
- 悪玉菌:腸内を乱す存在
- 日和見菌:どちらにも傾く中立的な菌
理想的なバランスは善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割と言われています。日和見菌はより数の多い方の味方をするため、悪玉菌が多くなると腸内フローラのバランスが崩れてしまいます。日和見菌を悪玉菌の働きに加担させずに、善玉菌の味方につけることが重要です。
腸は「第二の脳」と呼ばれる存在
腸は単に食べ物を消化・吸収するだけの臓器ではありません。腸の壁には膨大な数の神経細胞が存在し、脳と同じように情報を伝達しています。そのため腸は「第二の脳」と呼ばれるほど重要な役割を担っているのです。
腸と脳は腸脳相関と呼ばれる密接なネットワークでつながっており、腸内環境の乱れが脳の働きに影響し、逆にストレスや不安が腸の働きを乱すこともあります。つまり腸と心はお互いに影響し合う関係にあるのです。
腸と心をつなぐ腸脳相関
腸と脳は神経・ホルモン・免疫を通じてつながっています。これが腸脳相関です。
腸が不調になると気分の落ち込みや不安感が出やすくなり、逆に強いストレスを受けると腸の働きが乱れて便秘や下痢につながることがあり、ストレスホルモンの増加を引き起こし心の調子にも影響します。
セロトニンと心の安定
気分の安定に関わるセロトニンの90%以上は腸で作られます。
そのため、腸内環境が乱れセロトニンの分泌が不十分になると気分の落ち込みや不安、睡眠の質の低下が起きやすくなります。
ドーパミンと腸の関係
ドーパミンは「やる気ホルモン」「報酬ホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質です。達成感や喜びを感じるときに分泌され、モチベーションを高め、行動を後押ししてくれます。
しかし、分泌の乱れは無気力感や依存傾向を引き起こすこともあります。
腸内フローラが整っていると、ドーパミンの分泌が安定し、やる気が出やすくなるのです。
腸内細菌とGABA
GABA(γ-アミノ酪酸)は、脳を落ち着かせる働きをもつ抑制性の神経伝達物質です。
心が興奮しすぎるのを抑え、リラックスや安定した睡眠をサポートします。
不足すると、不安感や緊張、イライラにつながることもあります。いくつかの腸内細菌(ラクトバチルス属など)はGABAを産生できることがわかっています。
このGABAは腸内で作用するだけでなく、迷走神経を介して脳にシグナルを送り、心の安定を支えているのです。
オキシトシンと腸内環境
オキシトシンは「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、安心感や信頼感をもたらします。
腸内環境が乱れるとストレスホルモンが増え、オキシトシンの働きが抑制されることがあります。腸が整うと、安心感や幸福感を得やすくなります。
免疫と炎症の関係
腸には免疫細胞の約7割が集まっています。腸内環境が乱れると炎症が起き、血流を通じて脳にも影響し、うつ症状を悪化させることがあります。
一方で、腸を整える生活習慣は脳を守り、心を支える力となります。
迷走神経を通じた信号
腸と脳をつなぐ大切なルートが迷走神経です。腸の快・不快はこの神経を通じて脳に伝えられます。
だからこそ、腸がよい状態であることが心の健康にも欠かせません。
腸内フローラと短鎖脂肪酸
腸内細菌は食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を作り出します。
これは腸の炎症を抑えると同時に脳にも良い影響を与え、ストレス耐性を高めてくれます。
腸内環境の乱れが招くリスク
- 便秘・下痢などお通じの不調
- 疲労感・集中力の低下
- イライラや気分の波
- うつ症状・不安リスクの上昇
研究では、うつ病の人は腸内フローラの多様性が低い傾向があると示されています。
腸内環境を整える習慣
1. 発酵食品をとる
ヨーグルトや納豆、みそなどの発酵食品は善玉菌(プロバイオティクス)を補給できます。
2. 食物繊維を意識
野菜や豆類の食物繊維は菌のエサ(プレバイオティクス)となり、腸内を回復させます。
3. 睡眠と生活リズム
規則正しいリズムが腸内細菌を整える鍵となります。
4. 運動
軽い運動は腸を刺激し、気分転換にもなります。心身の回復を後押しします。
5. ストレスケア
ストレスの蓄積は腸に大きな負担がかかります。深呼吸や入浴でリセットしましょう。
まとめ
- 腸内環境とメンタルは密接に関わる
- 乱れは不調を招くリスク
- 発酵食品・食物繊維・睡眠・運動・ストレス対策で回復できる
ちょっとした食事や生活の工夫で、心の回復につながります。
今日の食事に発酵食品をひとつ加え、夜は少し早めに眠ってみませんか?
その小さな一歩が、メンタルヘルスをやさしく支えてくれます。