今、100人に約1人が発症!関節リウマチってどんな病気?

「関節リウマチ」という病気について、この記事をご覧頂いている皆様はどのくらいご存知でしょうか。

病名を聞いたことがある程度という方も、実はご自分が罹患しているという方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、関節リウマチの症状に焦点を当てて説明していきたいと思います。

関節リウマチの基礎知識

関節リウマチの〈リウマチ〉は、ギリシャ語の「rheuma」(リューマ)という言葉から来ています。

これは「流れる」という意味で、古代ギリシャの医者ヒポクラテスは脳から各臓器に物質が流れており、その流れの異常によって病気が起こると考えていました。

これを体液説といい、人間の体液は血液、粘液、黄色胆汁、黒色胆汁からなり、その体液のバランスによって病気が引き起こされるという医学理論です。

ギリシャ哲学では空気、水、火、土の4元素、冷、熱、乾、湿の4元性の組み合わせで様々な物質が生まれるとされており、人間の病気も4種類の体液の過不足やバランスの崩れが引き起こすとされていました。

インドにも似た説が伝わっており、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダに類似点が残されています。

この頃は体液のバランスを取るため、皮膚を切開して毛細血管から血液を抜く瀉血や、下剤によって悪い体液を排出するといった治療が行われていましたが、一時的に症状を和らげるだけで病気自体を治すことはできませんでした。

紀元前3〜5世紀には、対称性の骨びらんを伴う関節炎がアメリカ大陸に存在していた可能性が、アメリカインディアンのミイラを用いた研究で示唆されています。
この病気は関節リウマチや変形性関節症などの疾患で現在もみられるものです。人類がリウマチに悩まされ始めてから2500年が経つ、ということになります。

1800年代に初めて学問的な文献に記載され、「新しいタイプの痛風か」と報告され、19世紀半ばに「rheumatoid arthritis(関節リウマチ)」と名付けられました。

1899年にドイツの製薬会社バイエルが解熱鎮痛薬のアスピリンを製品化し、関節リウマチの痛みを和らげることには成功しますが、その場の痛みは和らいでも関節や骨の破壊進行を止めることはできませんでした。

近年になり研究が進み、抗リウマチ薬や生物学的製剤などの新しい治療薬が開発され、長年対症療法しかなかった関節リウマチに、ようやく寛解への光が差したのです。

関節リウマチの症状とは

関節リウマチの初期症状は、発熱、倦怠感、食欲不振などの風邪と間違われやすいもののほかに、朝のこわばりがあります。

朝のこわばりは関節リウマチの特徴的な症状で、起床時に関節が固まってしまい、なかなか動かせないと感じる症状を指します。この固まるものが「こわばり」で、日常生活に影響を及ぼします。

なぜ朝のこわばりが起こるのかというと、関節リウマチの原因が深く関わっています。

関節リウマチは免疫系が誤って身体の正常な組織を攻撃し炎症を起こす自己免疫疾患ですが、免疫系が関節を包む滑膜という組織を攻撃すると、炎症が起こった滑膜は厚くなり、滑膜の内側の水分量が増すことで、関節の腫れと痛みが発生します。この溜まった水分は、関節を動かすと一時的に減りますが、動かさないとさらに関節に溜まり、より強い炎症の原因となりこわばりの症状が現れます。

その他にも寝ている間の関節の動きの低下、関節の炎症を引き起こす炎症性サイトカインという物質が睡眠時に最も増加し効力を発揮すること、炎症を抑えるコルチゾールという抗炎症ホルモンの分泌低下により炎症性サイトカインを十分に抑え込むことができないことなどが原因とされています。

こわばり自体は、長時間同じ姿勢でいて立ち上がった時などにも起こりますが、身体を動かせば治るのに対して関節リウマチのそれは30分~1時間ほど続くことが多いとされています。

初期症状が出やすい身体の部位が3ヵ所あります。

手指、手首、ひざです。

さらに「痛みが2週間以上続いている」 「痛みだけでなく膨らんで腫れている」「患部を押すと痛みが強くなる」 「動かさなくても痛い」 場合にはリウマチの可能性がさらに高まります。その他には、肩、足首、足の指、足の裏がリウマチが起きる可能性がある関節になります。

中期以降の症状

ある程度病気が進行すると、関節の骨や軟骨が破壊されて関節の変形が起こり、関節の可動域が狭まります。

症状は左右対称であり、これは関節リウマチの特徴のひとつとされています。

各部位に現れる症状は

手や指

  • 小指側に曲がる尺側偏位
  • 指の関節の変形(スワンネック、ボタンホール)
  • 力が入りにくくなる
  • しびれ

脚部

  • 外反母趾
  • 足指の変形(ハンマートゥ)

頭部

  • 環軸関節亜脱臼
  • 後頭部の痛み

また、肘の外側、後頭部、腰骨の上など圧迫が加わりやすい部位の皮下にしこりを生じることがあり、これはリウマチ結節とよばれています。

関節リウマチかもしれないと思ったら

まずはかかりつけの医師に相談するか、お近くのリウマチ科、膠原病科やリウマチ科を標榜している整形外科を受診しましょう。

関節リウマチの専門医は一般的に、リウマチ科、膠原病科、整形外科、内科にいますが、病院やクリニックによって診療科の表記の方法が異なることがあります。関節リウマチを専門に治療している医師がその病院にいるかどうかわからない場合は、直接問い合わせてみるのも方法です。

関節リウマチの診察では、まず問診と関節の腫れや痛みなどの診察を行い、症状を確認します。関節リウマチと診断された場合でも、現在は、飲み薬、注射薬など、患者さんのライフスタイルに合わせて多くの治療法が選べます。関節リウマチは病気を早期に発見、早期に治療を開始するほど、より高い効果が得られることがわかっています。また、発症してかなりの期間が経過した患者さんでも、適切な治療を行うことで症状を抑えることが期待できます。

関節リウマチ以外にも、変形性関節症や痛風など関節に痛みや炎症をひきおこす病気はたくさんあります。ほかの病気との区別が難しいことも多く、関節リウマチの診断には診察や検査などによる医師の総合的判断が必要なため、気になることや疑わしい症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

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